私が第一報を知ったのは、地震発生後20分ほどのハワイ時間夜8時過ぎだった。
テレビで「NHKworld」の毎時のニュースをチェックしようとすると、かなり焦った表情のアナウンサーと、まだ天井で揺れているスタジオのライトを見て、驚いた。
その後CNNやロイターでも使われた、岩手上空のNHKのヘリコプターからの津波の生放送が始まると、テレビの前から動けなくなった。
映画のSFXのような世界が祖国日本で実際に起きている。
車や家を飲み込みながら内陸にすさまじい勢いで流れ込む津波。
逃げようとしている車が飲み込まれていく。
一体どれくらいの人が犠牲になったんだ!
岩手だけでなく、太平洋側に広く発生した津波と、広範囲に及ぶ大きな余震に、刻々とニュースは報じられていたが、被害状況が全くわからない地域も多く、心配になった。
東京の母は電話が通じたが、福島の親戚に全く繋がらない状態が続き、その後は日本への電話はどこにも繋がらなくなった。
日本からハワイへは電話が繋がり、母から親戚の無事も確認する事が出来た。
無事だったが家の中は目茶目茶で、ライフラインが止まって、これから避難だそうだ。
すると今度はハワイにも津波警報が発令された。
私が住むのはビルの9階なので、とりあえず家から出ないようにしていたが、外は高台に避難する人達や、スーパーやコンビニに水や食料を買いに行く人達で騒がしかった。
ワイキキのビーチにも避難命令が出て、ホテルの宿泊者たちも6階以上に移動された様子。
ハワイには午前3時に津波が達すると言うことだったが、12時頃には街中はすっかり静まり返っていた。
一時間置きに島中にサイレンが鳴り響いていたが、私はツアーに備えて就寝した。
翌朝、結局オアフ島は特に被害も無く、ツアーに行く準備を進めたが、ハワイ島やマウイ島では2メートル以上の津波が来て随分被害も出たようだし、オアフ島にもまだ津波注意報が出たままだったので、情報を集め始めた。
一部の韓国系ツアー以外はどこもオプショナルツアーは中止になっているらしかった。
ワイキキの通行止めは解除されたが、ハナウマ湾などビーチは近づけない所が多いらしい。
日本ではまだ余震が続いているようだし、今後ツアーに出ている時に避難命令などが出たら大変なので、とりあえず私もこの日のツアーは中止にした。
そしてインターネットのUSTREAMで流されていたNHKやテレビ朝日の生放送にずっと釘付けだった。
しばらくはありえない光景の連続に見入っていただけだったが、福島の原発の被害についての報告が、日本の放送局よりCNNなどのアメリカのメディアの方が詳しいのに驚いた。
何か重大な事象が発生していて、政府がそれを隠しているのでは無いかと言う疑念さえ浮かんでくるようになった。
アメリカの西海岸でも死者が出るなど、津波の影響は広範囲に及んでいったが、アメリカは「スリーマイル島」の原発事故を経験しているだけに、扱い方が全然違った。
日本政府は福島の原発からの避難指示範囲を広げたが、炉心の融解は無いと言い切っていた。
翌朝には、やっぱり融解が始まっていて、被爆者が出ていると言う。
こういうNHKや政府とは少し距離を置いた会見を見て、人災が起きる可能性もあると感じた。
http://www.ustream.tv/recorded/13270814
大災害が連続して発生している状況。
まだまさに救助が進行している。
被害の全容は全く見えていない。
これからの復興にどれくらいかかるのか?
明日のツアーのお客さんも一組、ホテルにチェックインが確認されていない。
日本に帰れないでいる人もいるようだ。
阪神大震災の時もそうだったが、しばらくはハワイ旅行に来れなくなる人が増えるだろう。
日本も団結して頑張って欲しいが、ハワイもしばらくは被害が続くのだろう。
今は祈ることしか出来ないが、被害が少しでも少なく、一日も早く復興に向かうことを願っている。